人と自分を比較するから致命的なスランプに陥る 伊藤真『伊藤塾』塾長の名言
司法試験受験のために、大学入試予備校の現代文の講座受講から始めて5年で司法試験に合格した女性がいます。
司法試験の最初の試験(択一試験)を初めて受けたら、答えどころか、問題文の意味もわかりませんでした
彼女は、本といえばマンガしか読んだことがなく、漢字もろくに書けないし、日本語もあやうい国語力の女性だったと言います。
彼女に泣きつかれた司法試験受験塾『伊藤塾』主催の伊藤真塾長は、彼女に試験頻出の漢字書き取りを徹底勉強する一方で、大学入試予備校の現代文の講座の受講を進めました。
そうして、彼女は大学予備校で現代文の講座を2年間受講しました。そのあと司法試験の受験勉強にとりかかり、3年後に司法試験に合格したのです。
普通、司法試験は司法試験勉強だけでも5年で合格するのは大変なことです。
それを、この女性は日本語のレベルから勉強をして、試験勉強は3年で司法試験に合格したのですから、すごい信念を持っていたのだと思います。
司法試験は、医師試験、公認会計士試験と合わせて、日本最高難度の3大試験の一つと言われています。
それだけに、司法試験を受験する人間は、周囲から頭のいい人だと評価されるのが普通です。
そんな評価があってしかるべきはずの彼女は、司法試験受験の前に、大学予備校で現代文を学ぶように指導されたのです。
あなたが彼女の立場だったらどうでしょうか。自分は頭がいいとみんなから思われているんだというプライドを捨てて、予備校生に混じって現代文を学び続けられますか?しかも、2年間に及んだんです。
『伊藤塾』伊藤真塾長はこのように述べられています。
『すべて人には、それぞれの「とき」があります。自分と同じことをして、自分より早くうまくいく人がいるとしても、それはその人にとっていいタイミングだったというだけです。
自分にも必ず「いいとき」が訪れます。すべてタイミング、順番の問題ととらえ、焦らず、目の前にある課題を淡々とこなしていけばいいのです。そうすれば、致命的なスランプにおそわれることもありません。』
彼女が司法試験に合格できたのは、そんなプライドをモノともしない強い信念があったからだと思います。自分は、ゼッタイに司法試験に合格して、弁護士になるんだ!という誰にも負けない強固な信念を持っていたのです。
だから、真剣に司法試験受験の勉強を始めて、わずか3年で合格できたのも彼女の信念によるものだと思います。
出典:伊藤真著『続ける力 仕事・勉強で成功する王道』63ページ
どんな夢も目標も、それを達成する原動力になるのは「続ける力」 伊藤真『伊藤塾』塾長の名言
もうひとり、『伊藤塾』伊藤真塾長の教え子の女性の例をご紹介します。彼女はマザーテレサの本に感動してインドに行き、マザーテレサに会ったときの言葉を胸に17年かけて、司法試験に合格しました。
マザーテレサの本を読み、自分は弁護士になって弱い人のために働きたいとの思いが司法試験受験の動機です。
彼女が他の人と違うのは、感動だけに終わらず、マザーテレサがいる「死を待つ人々の家」に行き、そうそう直に会えるものではないマザーテレサご本人に会えたというのですからスゴいことです。
しかも、マザーテレサに感動して、自分は日本で法律の仕事で弱い人たちを守る仕事に就きたいと思いを伝えると、
マザーテレサから
ぜひ、いい弁護士になってください
と声をかけてくれたというのです。
この会話だけでも、ジーンときます。
このマザーテレサのその一言を支えにして彼女は法律を勉強します。
当時、彼女は結婚していて子供もいました。家事、育児の時間をおろそかにせず、それでいて受験勉強に時間を割きます。ほかの受験生とは環境が違うこともあって17年後、50歳手前で彼女は司法試験に合格します。
17年間の受験勉強というのは、ご本人にとっても大変なの当然ですが、試験勉強の期間が長くなるにつれてご家族や周囲からの反対の声も強くなっていったはずです。
また、40歳をすぎて50歳近くになって司法試験に合格しても、この先法律家としてどれだけ仕事していけるのかという心配もなったはずです。
こうした意見に対して、『伊藤塾』伊藤真塾長はこのように述べられています。
『目まぐるしく変化する状況を少しでも早く先読みして、「抜け道」や「わき道」を見つけ出す。そうやって競争相手を出し抜き、軽やかに世間を渡っていくのが、いまどきの「カッコいいライフスタイル」のようです。
実際、「歯を食いしばってがんばったりせず、要領よく結果を出すほうがカッコいい」「結果が約束されていない道で努力を続けるのは見苦しい」「将来の成功のためにいまを我慢するなんてバカらしい」と考える若い人たちは少なくありません。 「継続は力なり」という言葉がありますが、いまはその言葉自体が力を失いつつあるようです。
「司法試験の勉強に十七年も費やすなんて、人生のムダ使いだ」という人もいるでしょう。
しかし、マザー・テレサのように生きたいと願い、コツコツと勉強を続けてきた彼女の十七年間を、「スピード」と「効率」というモノサシではかることができるのでしょうか?
彼女のような思いを持った法律家は、世の中に必要ないのでしょうか?
司法試験の世界だけではありません。どんな夢も目標も、それを達成する原動力になるのは「続ける力」です。
能力が違う。おかれている環境が違う。だれもが平等なスタートラインに立てるわけではありません。でも、「続ける力」さえあれば、人間はその壁を乗り越えることができます。
「続ける」ことこそが、すべてのゴールにつながる「王道」なのです。』
自分の夢が実現するまで、ゼッタイにあきらめないという気持ち、それにむかって何が何でも…と打ち込む姿は何歳の人でも周囲の心を打ちます。
自分が死ぬときに、周囲の人がなんと言おうと自分は、後悔しない人生を歩みたいと、私は思います。
出典:伊藤真著『続ける力 仕事・勉強で成功する王道』175ページ