ブロードウェイで4年もの間、出版社に作品を届け続けて36回も断られたファニー・ハースト。
あなたは、断り状を何度も送られ、それに目を通しながらも、それでも36回も作品を書き、出版社に届け続ける信念、勇気、続ける力があるだろうか。
断られた数から計算すれば、1年間に平均して9回も断られている。
プロの作家を目指す人間が、1~2カ月に1作品を書き上げるというのはとてつもない作業量のはずだ。しかも、出版社のプロに提出するのだから、半端な作品ではないはず。
それほどの力作を1年に9作品も書き、それを4年間も続け、そして、4年間ずっと断られているのだ。送られた断り状は36通。
普通の人間なら、自分にはムリだとあきらめて道を変えていることだろう。
2~3通の断り状を受け取った段階でほとんどの者が挫折したはず。もしくは、期間を1年というふうに区切ってそれでもダメだったら田舎に帰ろう…と。
編集者に会って断られて帰るブロードウェイの帰途、ファニー・ハーストはいつもこの言葉を繰り返していた。
いいわね、ブロードウェイ。
あなたは大勢の人を追い出してきたけれど、私は追い出されはしないわよ。
あきらめるのは、あなたのほうね
ニューヨーク・ブロードウェイには名声と富と力と愛と、そしてその他、成功 と呼ばれるありとあらゆるアメリカンドリームを求めて世界中から多くの人間が集まってくる。そして、誰かがこれらのチャンスを求める群衆の長い長い行列から抜け出して成功すると、その人はブロードウェイの征服者として称賛される。
しかしその栄光を手にできる者は極々限られた者だ。ブロードウェイほそれほど甘くない。
輝かしい成功を手にできる者は「忍耐」という言葉と決して切り離すことはできない。ファニー・ハーストもプロードウェイの征服に成功したそのごく少数の一人だ。
彼女がブロードウェイを征服するためにどのような困難とかかたってきたか、その苦闘の中に秘密が隠されている。彼女は、1915年にニューヨークにやってきた。作家として身を立てるためだった。
ニューヨーク・ブロードウェイは、4年間、彼女をテストしていた。ブロードウェイの歩道を、彼女はいつも同じ道を通い続けた。それは、出版社に通じている道でだった。
長い苦労のあとに、彼女はその望みを達成し、成功を手にした。その日、プロードウェイの「拒絶」という呪縛が解けたのだ。
そして、今度は出版社のほうがその道を彼女の家へと通うことになった。
ファニー・ハーストの代表作
- 「スターダスト」
- 「ラマクス」
- 「アパシオナータ」
- 「ア・プレジデント・ボーン」
- 「5と10」
- 「ファミリー!」
以来、数々の作品が彼女の頭の中から生み出された。それに合わせてお金が激流のように、彼女のもとに流れ込んできた。あまりにも巨額のお金が次々と流れ込んできたため、彼女は数える暇さえなかったほどだった。
そして、作品が映画化されることになり、再びお金が洪水のように押し寄せてきた。
こうして彼女は不動の地位と名誉と巨富を得たのだ。
あなたに、これほどの信念が持てるだろうか。いつ抜けるかもしれない真っ暗なトンネルをずっと進み続けられるだろうか。
ファニー・ハーストのこの成功例をナポレオン・ヒル博士は、忍耐力の項で取り上げている。
忍耐力もそうだが、私はその忍耐力の原動力になっている「揺るぎない信念」「必ず成功するという確信」がもとになっているのではないかと思う。
出典:ナポレオン・ヒル著「思考は現実化する」(アクション・マニュアル、索引付き)272ページ